富士山ウオーキング・2

2022/05/27(金)雨・22/75

つづき

1991年8月10日、三島勤労者山岳会メンバー5名は、ヨーロッパ・アルプス

第二の高峰、モンテ・ローザ(4634m)に上り、下山に掛かった。

モンテ・ローザは、標高差が1800mある難峰。小屋発は2:05だった。全員、ヘロヘロだったが、中でも女子のMは、完全にバテバテて今にも落ちそうな状態だった。

モンテ・ローザ氷河末端まで降りて来た。小屋は左に下って、グレンッ氷河沿いに行けば30分で着く。

快晴無風で小屋も見える。富士山で言えば、合目から合目の感じだ。Mは余りに疲れ

「先に下って下さい」と言った。天気は良い。小屋は見える。時間は十分ある。「それなら大丈夫だろう」(だろう、だろう)で、Yと私は、Mを置いて先行した。

トキワツユクサ・1

トキワツユクサ・2

我々は小屋に着き、ベンチに座りビアをやっていた。上からゾロゾロ登山者が下山して来る。ビアを一杯飲み終えたが、Mは来なかった。30分の行程だから、そんなに時間は掛からない。しかし、二杯目が終わってもMは来ない。

「これはオカシイ、何かあったか」ビアの酔いは何処かに行った。踵を返して上り直し捜索に向かった。

結局、彼女は「左」でなく「右」に下って、モンテ・ローザ氷河を彷徨っていた。早朝暗い中、上っているので地形が頭に入っていなかった。これは素人に多い。

また、疲れが判断を誤らせた。間違ったと思ったら、頭はパニックになり、正常な判断が出来なくなった。

実相寺の梵鐘

この事件(事故)の教訓は、「疲れている人間は、絶対一人にしない」ことだった。それ以前にも、そのようなことは何回かあった。冬の白馬岳、冬の常念岳でもあった。山では、常識で考えられないことが、しばしば起こる。

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そんな教訓を忘れたわけでもないが、午後の出発時、2名の方が、疲れたので「バスで岩本山に行きたい」で先に下って貰った。

「付き添いする」の話もあったが、両名が「先ほど上って来たばっかりだから大丈夫」で結局、行って貰った。

我々も午後のウオーキングを開始。5~6分下ると、前に誰か居る。誰かは、先ほど先行した2名の方だった。「ええ~、何で」だった。道を間違えるのは、下りが殆ど。上りは、例え間違っても、上に上に行けば、いつか山頂に着く。しかし下りは、山頂で方向を少しでも誤ると、あらぬ方向に行ってしまう。

つづく