トガクシショウマ(戸隠升麻)

2022/07/08(金)曇・26/69

かつて山々には、美しく珍しい花々が咲き誇っていた。

ところが、それゆえ、「盗掘」が絶えず、数を減らしていった。

ホテイアツモリソウ(布袋敦盛草)、トガクシショウマ(戸隠升麻)など、枚挙に暇がない。

トガクシショウマ・1

トガクシショウマ・2

写真の「トガクシショウマ」は、何年か前、白馬村の民宿庭で観たモノ。自然のモノででなく、人工的なモノだ。

自然なモノは、1984年8月、荒船山で観たのが最後。

しかし、知人の白馬ガイドのTさんが、今回、送ってくれた報告に、トガクシショウマがあった。あるところには、まだ、あるようだ。

ホテイアツモリソウ(布袋敦盛草)

ホテイアツモリソウも盗掘が絶えない。長野・山梨県境の某山の小屋庭には沢山あるという。何故、そこにそんなに存在するか不明。以下は、2005年6月、私が経験した、櫛形山の経験。

 

・・・等高線 No.86

花はどこへ行った?
                                    後藤隆徳
 Where have all the flowers gone?、、、。その昔、反戦歌として流行ったピート・シーガーの名曲である。もちろん、曲の意味と自然保護は直接脈絡ないが、その瞬間何故かそう思った。戦争は人間の最も愚かな行為であるが、「盗掘」も類似行為である。
 6月12日、久しぶりに櫛形山を訪れた。今回は長泉町民のさわやかハイキングと麗峰の合同隊だった。
頂の途中でカモメラン、下ってイチヨウランを沢山観察。さて、後はお楽しみキバナアツモリソウである。
すでにアヤメ平で観察した方の話では、「道端にあった。すごい。感動した」との情報。アヤメ平にキバナアツモリソウは沢山咲いていた。
しかし、あったのは「幻の中の幻の花」と言われる「ホテイアツモリソウ」だった。それも観察歩道のすぐ脇である。まだ、咲き始めで色は淡く、澄んだ美しい雰囲気を漂よわせていた。素晴らしい花だった。無我夢中でシャターを切った。
 ボランテアで監視員をしている元会員の望月仁美さんと偶然会った。地元の彼女さえ「初めて見た」と大喜びだった。
 家に帰りワイフにその話をしたら、「絶対見たい」と言う。まあ、私ももう一度見たいし、定年の気安さで再び櫛形山に向かった。アヤメ平に行く、が、、、、、確かこの辺だと思ったところにアツモリソウがない!
 「変だな~、勘違いかな」と思い、右往左往するが、やっぱりない!良く見ると、そこにあったのは20Cm程の穴だった。
  「盗掘」である。たった48時間後なのに、、、。12日は環境庁の監視員がいた。「盗掘」を懸念し、花びらを取ってしまい目立たない様にしようと検討したが、せっかく咲いた「幻の中の幻の花」。皆さんに少しでも楽しんで貰おうとの親心が仇になった。。
 希少価値のものに「不買運動」がある。つまり買わないことである。買う輩がいれば、供給が生まれ悪事がはたらく。人間の身勝手さで地球上から消えた動・植物ははかりしれない。せめて、今も何処かで元気でいることを祈るのみである。
【№86 2005.06.28】